「とりあえず、部活について書くかぁ~」 笑止!
活動報告や自己PRを記述させる書類の提出を課す試験がある。受験生のみなさんは、たいてい「高校時代にがんばったり、やったことを書けばいいんでしょ。とりあえず、部活かな~」というノリで書いていると思う。そして、「高校1年生のときには~」「高校2年生のときには~」「高校3年生のときには~」、「部活で~、大会で~、発表会で~、コンクールで~」とひたすら、文字通り、活動の報告だけをする。しかし、審査官である大学教員がそうした活動報告書や自己PRの内容から受験生の何を知りたいのかについて、みなさんは想像力が欠けていると思う。
想像力を働かせろ
審査官が知りたいのは、以下の点です。
a.受験生がこれまでに何を目指して、
b.何を目的として、
c.どのような活動に取り組み、
d.その活動の中でどのような困難や課題に向き合い、
e.そうした困難や課題を解消してきた経験からどのような人間的成長を遂げたり、
f.どのような力や能力を培うことができたといえるのか。
以上の点を意識せずに、ただ文字通りの活動報告をずらずら書いて、「がんばりました~!」みたいな説明をすると、審査官の知りたいことを説明したことにはまったくならない。もっと、読み手に対する想像力を働かせよう。あなたが審査官だったら、どのような受験生を合格させたいのか、もっと想像しよう。
活動報告書
報告書の書式にもよるので、一概には言えない部分もありますが、文章として説明する必要があるものならば、以下の点について説明するように潜龍舎では指導をしています。
パターン1
・これまでに何を目指して、何を目的として、どのような活動に取り組んできたのか。
・その活動の中でどのような困難や課題があったのか。
・そうした困難や課題に対して、どのように向き合い、どのように解消してきたのか。
・そうした経験からどのような人間的成長を遂げたといえるのか。
・その結果、どのような力や能力を培うことができたといえるのか
・そうして養われた能力や力を大学という学びの場において、どのように生かすことができると考えているのか。
パターン2
・これまでにどのような活動に取り組んできたのか。
・その活動の中でどのような困難や課題があったのか。
・そうした困難や課題からどのような問題意識を得るに至ったのか。
・その問題は自分にとってどのような意味で切実な問題であるといえるのか。
・その問題を解消することは、社会的にどのような意義があるのか。
・その問題を解決・解消を目的として、将来、何を志すようになったのか。
自己PR
「私の長所は○○なところです」といきなり書くのではなく、長所や強みをそれを証拠づけるエピソードとともに説明しよう。皆さんは爽やかな高校生。慎ましく控え目な君は、自分を売り込んだり、アピールすることが苦手かもしれない。となると、自己PR書もインパクトの薄い、人物像が見えてこない内容になってしまう。これは、もったいない。もっと、グイグイ押していこう!
友達にアンケートを取るべし
グイグイ押せないから、困っているんじゃないか!と、そうだった、そうだった。そこで、いい方法がある。友達に自分の印象や、長所・短所についてアンケートを取ろう。できるだけたくさんの人にお願いするために、先生やご両親、兄弟姉妹、みんなにお願いしよう。「ぼく、わたしの長所を5つあげてください」と。5つ挙げられない人は、きっと、あなたのお友達とは言えないかもしれない(笑)。しかし、実際には人の特徴を5つ挙げるのは、意外に大変だ。3つぐらいが平均かもしれない。ともかく、長所・短所についてアンケートを取ろう!集まったアンケートにもとづいた長所・短所であれば、君の魅力を自称するということではなく、客観的に自信を持って記述できるし、面接などでも堂々とアピールできる。
長所、短所は一つずつ
アンケートには様々な点が書いてあると思う。しかし、自己PR書には長所・短所は一つずつ、集約的に説明する必要がある。というのも、いろいろな点を挙げると人物像がぼやけてしまうからだ。長所・短所について、それらを明らかにする体験やエピソードと共に説明できるとよいだろう。
短所と長所は表裏一体
短所というのは、一面から見ると長所に転ずるものがある。たとえば、「流されやすい」という短所は、他者との協調性が高いということになるし、「心配性」というのは、物事に対して計画的になることができる要素だ。したがって、まずは、短所を明確な表現で説明しつつ、短所を補うための取り組みとして何を意識するようにしているのか、どのような行動をとるようにしているのかを説明できるとよい。
長所、短所が大学で学ぶ上でどのように生かされるのか
大学側が受験生に自身の長所、短所を説明させるのは、なぜだろう。長所、短所を大学側が説明させるのは、受験生の人となりを知りたいからだ。また、自己をどのように分析しているのか、さらに自身の特徴を踏まえたうえで、きちんと大学で学んでくれる人物なのかどうかを見定めようとしている。したがって、長所、短所(さらにその短所をどのようにカバーしているのかを説明する)を明確に示したうえで、特に長所が大学で学ぶ上でどのように生かされるのかを説明するとよい。
〇〇力って言葉は実体がない
コミュニケーション能力、論理的思考力、問題分析力、問題解決力、語学力、協調性、リーダーシップ、こういう言葉をいくら並べても審査官である大学教員には1ミリも響かない。「◯◯力が身につきました」、「△△力を発揮できます」という説明には実態がない。こういう説明の仕方をやめよう。あなたのことを何も説明していないからだ。
たとえば、協調性やリーダーシップも含めて具体的な力を説明するならば、こんなふうに説明できると良い。
・〇〇という活動から、対話を通して他者と協働し、共通の目標に向けて一つのことを成し遂げる力を養うことができた。
・××に参加することによって、目標に対して自分とは意識や考え方の異なる他者と対話を行い、協働していくためのコミュニケーションを行う力を備えることができた。
◯◯力という言葉済ませるのではなく、具体的に何ができるようになったかを説明しよう。