高校生の大半が、一人では志望理由書をまともに作成できません。以下のような困難があるからです。今回はその点を確認したいと思います。以下のような状況にある人は、志望理由書作成において困難を抱えているといえます。
・志が不明瞭、抽象的/志が定まっていない
「将来は我が国において、共生社会の実現に向けて、さまざまな人が暮らしやすい環境を作りたいです。」
こういう感じの記述を最初から最後まで繰り返す人、危険です。「共生社会の実現」って、何を問題意識として、具体的に何を実現したいのかが不明です。共生社会という抽象的な概念によって説明を行うのではなく、具体的に何を成し遂げたいのか説明する必要があります。また、「さまざまな人」って、どのような人たちなのでしょう。誰のために何をしたいのでしょうか。「環境」を作るというのも、具体的に何をしたら、「環境」を作ったことになるのでしょうか。
具体的な問題意識や志について考えられていないと、上記のような(悪い意味で)抽象的かつ志が不明瞭な内容になります。将来何をしたいのか、切実な問題意識にもとづいて何を成し遂げなくてはならないのかという志が定まっていないことは、志望理由書作成においては問題外であり、致命的であり、救いようがなくなります。いつも述べていますように、総合型選抜/学校推薦型選抜の受験を目指すのであれば、まずは「志」を定めてください。
・志が小学生レベル
「私は将来、○○になりたいです。○○になって、みんなのことを笑顔(幸せ)にしたいです。」
お花畑系の説明。夢見る夢子ちゃん状態…。小学生のように「なりたい!」と言っているのでは、大学は入れてくれません。「なって具体的に何を成し遂げたいのか」について説明を行う必要があります。「みんなを笑顔にして、幸せにしたい!」って、言葉は美しいですけれども、お花畑全開で「実」がない。何も説明していないに等しいです。
・興味があります!
「私は○○に興味があるので、経済学部で○○について学びたいです。」
大学で学ぶにあたって「興味がある」なんてのは、大前提です。興味があるなんてことを言っても、何も説明したことにはならない。そうではなくて、学びの目的や必要性を説明する必要があります。
・妄想的内容を書き連ねる=「もの(=ニーズや現状)を知らずに書く」
「志」があり、社会問題等への問題意識が確認されても、現状も知らずに、「私はこうしたい!」みたいな話を書く人、これも問題です。ある問題に対して、現に今どのような対策が取られているのか、あるいは取られていないのか、取られていないのであれば、それはなぜなのか、対策が行われているとしてもそれが効果を上げていないのはなぜなのか、こうしたことも調べずに、「私はこうしたいです!」って話を展開しても、その話は完全に妄想になります。現状や現場やニーズなどを知りもせずに、自分だけの「お気持ち」を書かれても困ります。問題があれば、まずは徹底的にリサーチが必要です。
・魅力語り系
「大学の施設設備、カリキュラム、留学制度、プログラム等が自分に合ってます/自分にとって魅力です!」
貴学において語学を学ぶことができる環境、貴学の○○というプログラム、充実したカリキュラム、素晴らしい施設設備、こうした表面的なところ褒めそやして、自分にとって魅力ですと書いても、これも意味がない。大学側が知っている情報だからです。それらが大学の魅力であることは、大学側は知っています。それがあなたにとって魅力であるということも、大学側は当然だと思います。したがって、そんなことをわざわざ書いたり、伝えても意味がないのです。
なぜその大学でなくてはならないのか、究極的な答えがわかりますか。施設・設備やカリキュラム、制度なんてのは、他大学とおおよそ代替可能なものです。そうではなく、大学の代替不可能性はどこにあるのか、それを考えなくてはなりません。答えを知りたい方は、どうぞ、以下の志望理由書分析会あるいはセミナーにご参加ください。