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絶対に合格しない志望理由書 シリーズ①

 

合格者の志望理由書については、弊塾セミナーでも毎回、実際の志望理由書をお見せしておりますし、これまでも動画などでどういった水準の内容を作成する必要があるのかすでに説明してきました。

 

合格者の志望理由書は、弊塾の指導の上で、他の誰にも書くことのできない圧倒的内容を持つ唯一無二のものです。こうした合格した生徒の志望理由書を見せて欲しいというご依頼を非常に多く受けますが、実はそれらを見ても皆さんにとってはさほど意味がない。なぜなら、合格者の志望理由書はその人にしか書けないものだからです。それらを仮に模倣したとしても、それはただの猿真似であり、あなたの言葉や考えが反映されることのない、出来損ないに過ぎません。

 

学ぶべきは、「絶対に合格しない志望理由書」です。審査官である大学教員が読んだ場合に、明らかに、絶対に、間違いなく!合格することはないと断言することができる志望理由書の例を示していきます。端的に何がダメなのかを学んでもらい、ご自身の対策に活かしていただければと思います。これだけは絶対にやってはいけない。

 

※以下の志望理由書の原稿は、合格した高校生がかつて初回指導の際に作成したものを「土台」としておりますが、各部分において省略などの改変がなされており、あくまで例です。また、表現上の問題がある箇所が無数にあり、あえてそのままにしておりますが、表現については今回は扱いません。

 

 

志望理由書課題

これまでの自分の実績や集中して行ってきたことに触れながら、入学後に何をどのように学びたいのか、2000字程度で説明してください。

 

志望理由書作成例

 私は将来、自然によって引き起る被害を減らすために安全対策のガイドラインを作成する仕事に携わりたいと考えている。その理由は、高校の部活動でマネージャーと試合ではスタメンという立ち位置である私にとっては関係があることだと思うからだ。チームは大まかに言うと選手と監督から成り立つ。マネージャーを始めた頃は「これは小さな集団、まとめることは簡単」だと安易な考えで、雑用などの形式的な仕事しか行わなかった。そして、問題は、起きてしまう。県大会開催の六日前、一人の選手と監督が意見対立を起こし、両者共に食い下がることはなく、解決しないまま始まり結果は、一回戦負けだ。この対立が起こることは、薄々私は分かっていた、もちろん予知能力ではない。それは、大会の十日前、練習試合を行った。その日から目には見えない感情の不満や心配を感じられた。その目に見えない感情が日々、大きく、強くなり爆発し対立が生じてしまったと思う。次の大会ではこの対立を失くす事を目標にした。それを実現する為に、選手、監督にも参加してもらいその目に見えない感情を言葉にして共有してもらう事で、マイナス感情を軽減することから始めた。しかし、この試を初めた頃は、選手からは、不満を言い合うだけで、なにも改善されなかった。なので、不満だけでなく、解決するために必要な意見も考えてもらうことにした。その結果、闇雲に言葉にするより意見はまとまり、なぜ「勝利したい」と目標は、同じにも関わらず、意見対立が起こるのか私なりに理解した。それは、対立している相手を「文句を言う人」「何も考えていない人」と勝手に肩書きを作り、言葉を共有しない。これが、意見対立の原因だと私は見つけた。そこで、意見だけではなく、相手の性格と特性を知ることで肩書きを取り除いた「本当の言葉の共有」を可能にすることが私の新目標だ。そして、二ヶ月後の大会では、県大会三回戦負け。成績だけに注目すれば上昇している。実際には、悔やむ点がある。新目標を大会までに達成することができず、途中段階で挑んだことだ。だが良い点もある。それは、少しだけ新目標である「本当の言葉の共有」をチームで可能にしたことだ。その可能にしたことは、二つある。一つ目は、不満を言うのではなく、技術的なアドバイに加えて励ましの言葉を、一言入れるようになったのだ。二つ目は、公式戦に挑むメンバーを監督の考えだけではなく、選手の考えも取り入れた、構成になったのだ。この可能にした二つの事に共通点がある。それは、言葉の共有より生まれた、共有相手への「思いやり」と「信頼」である。

 これらの経験は、安全対策のガイドラインを作成する仕事に携わるようになった時とても役に立つと考えた。以来、自分なりに安全対策とは、具体的に何が存在するのか疑問が生まれたので、私はインターネットで情報を集めたことにより、地震や水害による被害を予測し、その被害範囲を地図化する「ハザードマップ」に魅力を感じ、さらに情報を集めると、住民に地域の起こり得る自然災害の危険性を知らせることにより、平常時における自然災害に備えた事前対応や発生時における迅速かつ適切な避難行動を促す効果があることだ。確かに危機管理に「ハザードマップ」は効果的だ。だが、この効果の中に大きなデメリットも存在した。それは、土地の価値だ。家を建てる、マンションを建てると考えたとき、安全性を確認するはず、もし私が当事者なら確認する。それに加え近年では、自然災害が多発しているため、今よりも安全な土地を選ぶ傾向がある大多数になるはずだ。つまり、「ハザードマップ」で自然災害発生時に危険と決められた地域は土地の人気が減り、土地の所有者は損をすることになる。それを避けるために異議申し立てをする土地の所有者が急増するはずだ。そこには、必ず意見対立が生じる。そこで「ハザードマップ」作成時に生じる意見対立を「法律」と部活動で試みた「本当の言葉の共有」を使用する事で、出来る限り対立している両者の意見を取り入れた「ハザードマップ」を作成したいです。そして、この将来を実現するには、授業の目標に「法学部で学ぶということは、人一倍、社会や人に関心を持ち、学び続けることが必要である。」この言葉を書いた〇〇大学、法学部△△先生の下で学ぶことだ。

 

 この志望理由書では絶対に合格しない理由

①自然災害の安全対策のガイドラインを作成する、ハザードマップを作成したいという切実な動機、目的を自身の体験をもとに説明されていない。部活動の話をされているが、ハザードマップと何の関係があるのかまったくわからない。たとえば、自然災害の安全対策のガイドラインを作成したいと考えるのは、自宅が台風の際に水没したり、損壊を被ったりなどの被災経験があり、近年のゲリラ豪雨等も含む異常気象や温暖化の進行により、今後もこうした被害が生じることが見込まれるから等の当事者性のある理由があるならば納得できる。自然災害対策に対する問題意識や動機がまったく不明のため、まずは、自然災害(とその安全対策)と自身の関わりについて説明してもらいたい。

 

②部活動の話を長々とされているが、自然災害の安全対策ガイドライン作成と関係がないように見える。それらの関係が不明。仮に部活動における何らかの経験が将来的に役に立つと主張するならば、何が、どのようなことに有効だと言えるのか、もっと簡潔に記述する必要がある。部活動の詳細をほと細かに記述する必要はない。

 

ハザードマップの作成に伴う法的問題があるとすれば、具体的にどれぐらいの問題件数が実際にあるのか、また土地の評価・権利関係の問題が現状、どのような形で解決されていないのか、資料や文献等にもとづいて説明されていない。また、現状、ハザードマップの作成に伴う法的問題にどのような解決策が模索され、自分ならばどうしたいのかその展望が示されていない。

 

ハザードマップの作成に伴う法的問題(があるとして)を解決するために、法学部で何を学ぶ必要があるのかを、目的と共に説明されていない。大学で学ぶ目的が不明である。

 

⑤そもそも論として、たとえば、平成23年津波防災地域づくりに関する法律が制定され、また平成27年に水防法が改正され、洪水や津波のみならず、内水、高潮についても想定し得る最大規模の水害に対応した浸水想定に基づき、これに応じた避難方法等を住民等に適切に周知するため、市町村において水害ハザードマップの作成・改定を行うこととされている。つまり、ハザードマップの作成は国家による自然災害対策として推進されており、土地に関する評価の問題以前に、市民の生命の安全が優先されていることは明らかである。したがって、ハザードマップ作成について法的問題が今後生じるのか、あるいは現状において生じているのか疑問である。

 

ハザードマップ作成や自然災害対策を行いたいのであれば、どのような職についてそれらを行う必要があるのかを理由や目的と共に説明する必要があるが、それらがなされていない。また、ハザードマップの作成には地理学等の専門的知識が必要だと考えられるため、法学というより地理学等を学ぶ必要があるのではないか。法学部を選択する理由がわからない。

 

これでは合格しない…

今回の例では、上記の指摘のとおり、部活動の話が長過ぎる。さらに、部活動と将来の志望がどのようにつながるのかまったくわかりません。というか、ほとんど無茶苦茶な説明をしていると思います。いまだに(!?)、部活動の話を志望理由書に延々と書いてくる人がたくさんいますけれど、自分の志望や大学における学びとの接続や関連を示すものでなければ、意味がないです。多くの高校生の部活動は、ただの趣味でしかない。

大学での学びの目的や内容も不明です。ハザードマップ作成に伴う問題も現実的ではないし、ハザードマップ作成したいならば、法学部ではないのでは?という根本的問題まで、これでは絶対に合格しない。

 

 

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