「型」を覚えましょう!?
潜龍舎では基本的に「型」を覚えなさいという指導をしません。「序論-本論-結論」などといった「型」にもとづいた書き方は、どのような小論文課題にも当てはまるわけではないからです。「型」ではなくて、問われていることについて、何をどのように説明をしたら他者の理解や納得がなされるのかという他者とのコミュニケーションの基本から考えていくようにします。したがって、「型」ではなく、説明における論理や理屈の方を非常に重視しています。何を聞かれていますか、それに対して何を考え、何を主張しますか、その主張を支持する理由や根拠は何ですか、たとえばどのような例が挙げられますか、主張を実現するためには何が必要ですか…etc、「型」ではなく、他者(=読み手や設問の要求)が何を知りたいのか、何をもって理解や納得が生まれるのかを本質的に考えていく必要があります。
「型」なんて考えたことがないのですが…
「型」にもとづいた書き方に潜龍舎が否定的な理由は大きく二つあります。第一に、私たちが模範解答を作成するときにそもそも「型」なんてことを考えていないからです。自分たちが行っていないことを生徒に教えることはできません。これまでに何百という模範解答を作成してきましたが、「型」にしたがって模範解答を作成したことが正直ありません。潜龍舎スタッフは全員が学術論文を執筆する現役の研究者ですが、誰も小論文の答案を作成するときに「型」なんてことを考えていません。本質的には、問われたことにどのような理屈や論理によって答えるかということだけを考えています。
規定字数によって何をどこまで説明できるのかは異なってくる
大学入試の小論文の規定字数で多いのは、600字、800字、1000字、1200字などがスタンダードではないでしょうか。それぞれ与えられた規定字数の範囲内において、説明できる内容や事柄には当然制限があります。「型」にもとづいた論述の仕方が仮に何らかの効用を持つとしても、字数に合わせた説明を行うとすれば、常に「型」が適用されるということはないと思います。
志望校の過去問に沿ったスタイルへ
志望校の過去問を3,4年ぐらい解いてみると、「型」ではないけれども、一定の形式の出題に対するスタイルみたいなものはできると思います。模範解答を作っているのでわかるのですが、規定字数に対して、何をどのように、どれぐらい説明できるかについて、一定のやり方が見えてきて、さらに書き続けるとそうした論述のうえでのスタイルが自然と身についてきます。実際に模範解答を作成していても、一番難しいのは初めてその学部・学科の問題を解くときで、それ以降は慣れます。そのようにして体得された方法が本来的な意味での「型」であると思います。最初に規定の「型」があるのではなく、書く練習をして、書き慣れて身についたものこそが本来的な意味での「型」であると考えます。
ものを書く力は技術です
いつも述べているとおりです。小論文を書く力というのは「技術」です。参考書や指導者の言葉だけを受け止めていても、あなたは小論文が書けるようにはならない。実際に書くことによってしか、書く力は身につかない。スポーツや楽器の練習と同じです。参考書を買う以前に、指導者から書き方を教わる前に、それ以前にやるべきことは、まず実際に書いてみることです。最初は書けなくてもいいのです。なぜ書けないか、どうしたら模範解答のように上手く書けるようになるのかを考えるところからが本当の小論文対策のスタートです。
潜龍舎作成模範解答