潜龍舎 / 総合型選抜・学校推薦型選抜対策専門塾

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「志望理由書作成における差別化について」 【総合型選抜・学校推薦型選抜】

どうしたら差別化できます?

総合型選抜・学校推薦型選抜における志望理由書や自己推薦書などの出願書類の内容について、「独自性、オリジナリティのようなものを示すことによって、他の受験生との差別化を図り、自身の書類内容の優位を示したい」という考えからなのか、受験生から「(書類内容の他者との)差別化ってどうしたらできますか。」といったご相談を毎年非常に多く受けます。わからないでもない質問です。しかし、弊塾の生徒が質問をしてきたときには、「差別化なんてことを考えなくていい」と一蹴します。最初から差別化を図ることに意識を集中させても、たいして独自性、オリジナリティなんてものは出てきません。また、他者との差異を生み出そうとする場合には、他者の書類内容について「すでに知っている」という条件があるからこそ、本来の差別化の図りようもあるのですが、当該年度の他の受験生の書類の内容をみなさんが見ることは決してない。したがって、そもそも差別化などということを考えること自体に無理があるわけです。

 

差別化なんてことを気にする前に説明するべきことがあるだろ!

差別化なんてことを気にする前に、まずは以下の事柄について「きちんと言葉をつくして、懇切丁寧に、字数を気にせずに説明をしてください。」と潜龍舎では生徒たちに指導をしております。以前の記事にも掲載しましたが、再度載せます。

 

・将来何になって、何を成し遂げたいのかについて(将来の「志」について)。

 

・なぜそれを成し遂げなくてはならないと考えているのか。

 

・どのようなことに問題意識(あるいは興味・関心)があるのか(たんに自分が問題だと考えているだけでなく、その問題の解消には社会的ニーズや要請があることを、現行の状態や問題などをリサーチした上で説明をする)。

 

・問題に対して、現行ではどのような対応や対策が取られているのか。

 

・問題や興味・関心の対象に対して、どのような行動をとってきたのか。

 

・問題を解消するために、具体的にどのような職に就き、どのような立場において、どのようなスケールで、どのようなことに将来的に取り組みたいのか。

 

・上記の問題意識をこれまでの人生においてどのような体験や経験から有するに至ったのか。

 

・その問題がなぜ自分自身の問題であるといえるのか。(問題に対する当事者性)

 

・あなたが、なりたい(成し遂げたい)という希望ではなく、ならなくてはならない(成し遂げなくてはならない)という必然性について。

 

・将来成し遂げたいあるいは問題を解消するために、何が必要だと考えているのか

 

・必要だと思われることを実現するために、大学において何を研究する必要があると考えているのか。(研究テーマ)

 

・自身の研究テーマに照らして、どの大学教員のもとで学ぶ必要があるのか、教員の専門分野とのマッチングについて。

 

・あなたの研究テーマを探求するために、どのような知識や学びが必要であり、大学では具体的にどのような講義や演習から学ぶことができると考えているのか。(シラバスやカリキュラム等を調べて記述する)

 

・座学で学ぶ以外に、将来の志を果たすために、大学時代にどのような経験が必要だと考えているのか。(長期休暇におけるフィールドワーク、ボランティア、留学、目的に沿ったアルバイト、自分が企画した活動、見聞を広めるなど目的のある旅行など)

 

 

君の話を聞かせてよ

結果として審査官である大学教員が書類を読んだときに、他の受験生と「あなたの志望理由書」とに明らかな差異を確認し、あなたの志望理由書の内容を評価するということが「他の受験生との差別化が図られた状態」です。この意味において、結果として得られる「差別化」を得るためには、逆説的ではありますが、まずは差別化を意識しないことです。差別化を意識するのではなく、自分の話をすること、自分の考えについて、丁寧に丁寧を重ね、言葉を尽くして説明することに全意識を集中させるべきです。大学教員は受験生であるあなたについて、「本当のこと」を知りたい。したがって、あなただけにしか書けないこと、つまり、あなたがしてきた経験やあなたが考えてきたこと、あなたが取り組んできたことについて、まずは説明するべきです。あなたにしか語ることのできない内容を示すことができたときに、試験の審査の現場において「差別化」が結果として生じます。したがって、まずは、差別化などということを気にせずに、「あなたの話」をしましょう。

 

想像力を働かせなさい

志望理由書/自己推薦書等の出願書類を作成するにあたっては、その書類が大学教員に読まれることをもっと意識するべきだと思います。あなたは「大学の教員で、学びの意欲が高く、目的や将来の志が明確で優秀な学生を獲得するという目的を持っている」と想像してみてください。あなたが今作成している書類を大学教員であるあなたはどのように評価するでしょうか。大学という組織の目的を意識もせずに、ひたすら自分の思いや希望を縷々綴っても本当に意味がない。もっと読み手である大学教員に対する想像力を働かせるべきです。あなたの志望理由書は、「自分が!自分が!」、「熱意が伝われば!」という気持ちだけで、内容も構成も、説明の理屈や論理も飛躍し、さらには破綻していますよ。

 

最終的にそこにあるもの、それが唯一無二の内容

「自分のことを書きなさい」といいつつ、「読み手を意識しなさい、想像しなさい」という一見すると両立しがたい要求を行っているように思われるかもしれません。しかし、両者は矛盾しません。「自分のことを他者に分かるように丁寧に説明する」というコミュニケーションの基本です。したがって、まずは自分の考えについて、自分のことを書くことに集中しつつ、それを他者(=大学教員)に理解してもらえるように丁寧に表現していくことに集中してください。差別化などということを考える必要はまったくありません。自分のことを丁寧に説明することができれば、それは必然的にあなたにしか書くことのできない唯一無二の内容になります。以上より、差別化なんて放っておいてください。自分に向き合ってください。自分の考えや自分の経験を他者に向けて説明することを意識して書いていきましょう。

 

 

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